相続登記の辞書

あ行

・遺言
自身の死亡後、その財産を誰にどう分けるか、誰に執り行って欲しいか等を記した意思表示。法的な権利関係を保全するには、民法に定められた様式で遺言書を作成しておく必要がある。読み方は「いごん」「ゆいごん」どちらでも可。

・遺言執行者
実際に遺言の内容を執り行う者。遺言書で指定されていない場合は、家庭裁判所による選任も可能。

・遺言書
最後の意思表示である遺言を、書面に表したもの。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言等があるが、民法に則したものでないと無効になるので注意。

・遺言書の検認
公正証書遺言を除いて、封をしたまま家庭裁判所に提出して、その内容を確認し、形式が整っているかの判断を行う制度。

・遺産相続
相続人が被相続人の財産に属する一切の権利義務を承継すること。プラスの財産だけでなく、借金等の負債も含まれる。

・遺産分割
複数の相続人が存在する場合、その共同相続人によって、遺産をどのように分けるかという取り決めをすること。この内容を書面に表し、相続人の署名・実印押印を施したものが遺産分割協議書であり、印鑑証明書を添えて、相続登記の登記原因証明情報となる。

・遺贈
遺言によって、財産を譲渡すること。無償、負担付どちらでも可能だが、贈与者の単独行為につき、受贈者は拒否することも可能。

・遺留分
民法1028条に定められた相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度のこと。配偶者、子、直系尊属には、遺産の一定の割合を相続する権利があるが、兄弟姉妹にはない。もし遺言書の内容に不服があり、遺留分減殺請求をする場合は、相続があったことを知った日から1年間で時効消滅、相続開始から10年間で除斥となるので要注意。

・姻族
婚姻関係で生じる法律関係のこと。民法では、自己の配偶者の血族と,自己の血族の配偶者をいい、三親等内の姻族が親族となる。離婚によって消滅するが、配偶者の死亡のみでは消滅しないので、役所に姻族関係終了届を提出しなければならない。

か行

・改製原戸籍
現行以前の戸籍制度による戸籍のことを指す。相続手続きにおいて、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となる際は、大半の場合がこの改正原戸籍の謄本を確認することになる。

・家督相続
昭和22年改正前の旧民法にて定められていた長男単独相続の制度。当時は配偶者や他の親族に相続権はなく、「家」の統率者である「戸主」は、財産や身分行為等すべてを有していた。戸主の死亡、隠居による生前相続によっても生じ、長男が戸主の地位を承継していた。

・換価分割
遺産分割の方法の一つで、たとえば、遺産が不動産しかない場合、共同相続人で共有するのは望ましくないことから、その不動産を売却する等して、現金に換えた上で分割する方法。

・基礎控除額
相続税を算出する際、課税されない遺産の額のこと。基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算する。

・共同相続
法定相続人が複数いる場合、遺産分割をするまでの間の遺産の所有権が、共同相続人の共有になること。

・限定承認
被相続人の相続財産の範囲内で、被相続人の債務を弁済する相続の方法。相続人が複数いる場合は全員が共同して行う必要があり、原則相続開始を知ったときから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申立てる。

・公正証書遺言
遺言者が公証人の面前で口授した遺言の内容に基づき、公証人がその真意を公正証書遺言として作成する。法的不備も、隠匿・改ざんの恐れもなく、家庭裁判所での検認も不要。相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。

・戸主
昭和22年の法改正まで続いた家制度における一家の代表者のこと。現在の筆頭者とは性格が異なり、戸主は全財産を管理し、家族の扶養義務を負い、強い権限が与えられていた。

・戸籍
各個人の法律的身分関係を登録・管理する国の制度。記載された本籍地で取得できる。現戸籍は夫婦と未婚の子で編成され、氏名・生年月日・続柄が明記されている。

・戸籍謄本
戸籍に記載された全部の事項を証明した書面を指す。身分事項が記載されたプライバシーに関わるものにつき、戸籍謄本を請求できる人は、戸籍法に定められた人に限られる。

さ行

・死因贈与
「私が死んだら、自宅不動産を長女に与える」など、死亡を条件として、生前に交わす贈与契約のこと。これは贈与者と受贈者との間の合意による契約なので、受け取りの拒否はできない。

・事業承継
事業の経営に関する権利を別の者へ引き継ぐことをいう。中小企業は大変厳しい環境下にあるため、株の贈与や相続に係る納税の猶予等、「事業承継税制」で優遇されている。

・事実婚
法律上の婚姻ではないが、社会慣習上、婚姻と同様の事実状態にある男女のこと。生前に事実婚を解消する場合は、離婚と同じように財産分与や慰謝料請求権が発生するが、死後の相続権はない。

・失踪宣告
一定期間行方不明で生死が分からない場合、裁判所の決定によってその人を法的に亡くなったとみなす制度のこと。普通失踪は7年、特別失踪は1年の期間を要し、確定すると、死亡と同じように相続が発生する。

・自筆証書遺言
2019年の相続法改正により、財産目録の部分だけは緩和されたものの、その他の全文、日付、氏名等の全てを自書にして押印した遺言書のこと。家庭裁判所にて検認が必要。2020年7月からは法務局による自筆証書遺言の預かり制度が始まる。

・受贈者
贈与契約によって財産をもらう人のこと。

・条件付遺贈
たとえば「大学に合格したら、東京にあるマンションを遺贈する」というように、停止条件付きの遺贈のこと。

・除籍
結婚、離婚、養子縁組等の法律行為をした場合、該当する者を戸籍から抜くこと。または
戸籍の全員が除籍され、除籍簿に移された戸籍のこと。

・推定相続人
将来相続が発生した場合、遺産相続が想定される人のこと。ただし本人が生存中は、あくまでも推定にすぎず、必ずしも相続できるとは限らない。

・生前贈与
贈与者と受贈者間の契約により、生前に財産を与えること。ただし特別受益の問題や、贈与後1年以内の相続発生時遺留分の問題、加えて税金計算の方法(暦年贈与か相続時精算課税制度か等)に留意する必要もある。

・相続
人が死亡したときに、その財産や負債、権利関係等を次の世代へ引き継ぐこと。ただし一身専属上の権利義務は含まれない。

・相続欠格
一定の事由によって、相続人としての資格を失うこと。たとえば、被相続人や自分と同順位以上の相続人を故意に死亡させたり、死亡させようとしたりした場合や、脅迫等によって遺言させたり、遺言書を変更させた場合など、民法891条に記される。

・相続財産
被相続人が遺した相続人に引き継がれて相続される財産のことで、遺産と同義。一身専属上でない限り,一切の財産の権利や義務を含む。借金等の負債も全て相続対象である。

・相続時精算課税
原則60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対する贈与が対象。2,500万円までの贈与については、ひとまず非課税にして(申告は必要)実際の相続発生時、その贈与時の価額を戻し計算して、相続税として支払う方法である。2,500万円を超える分は、一律20%の贈与税がかかり、一度この制度を選択すると、暦年課税へ変更することはできない。

・相続税
相続によって被相続人から相続人に移った財産に対して課税される税金のことで、財産の額が大きいほど税率も大きくなる累進課税である。ただし、以下の基礎控除枠がある。
課税財産価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

・相続登記
亡くなった人が不動産を所有している場合は、相続人にその不動産の権利が移る。その不動産を相続した相続人の名義へ変更する登記のことをいう。

・相続人
ある人が亡くなったことにより、その財産を受け継ぐ人のこと。

・相続人廃除
たとえば、生前に相続人から虐待されたり、侮辱されたり、またはその他の著しい非行があったとき、本人の申立てと家庭裁判所の審判により、その相続人の地位を剥奪すること。この申し立ては、被相続人が生前か遺言書でしかすることができず、遺言書の場合は死後に遺言執行者が家庭裁判所に請求する。

・相続放棄
自己のために相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して「相続を否定して、相続関係から完全に離脱する意思表示のこと。

・贈与
財産を無償で譲渡する契約のこと。無償であるため、贈る側だけに義務が発生し、申込みと承諾という意思表示のみで成立する。贈る側の生前、死後、条件付きのもの等、様々な契約形態がある。

・贈与者
贈与契約によって財産を渡す人のこと。

・贈与税
贈与によって、財産をもらった人にかかる国税。相続時精算課税と暦年課税の2種類から選択し、制度に沿って申告、納税する。

・尊属
血族の中で、自身より上の世代の人のことを指す。

た行

・代価分割
遺産分割の方法の一つ。例えば、共同相続人全員で不動産を相続した場合、その不動産を売却して得た代金を、相続割合で分けることがこれに相当する。

・代襲相続
子供または兄弟姉妹が相続人となるはずの相続において、その子供または兄弟姉妹が、被相続人よりも先に亡くなっているなど相続できる状態にない場合、その子供や直系卑属が代わりに相続人になる相続のこと。なお、相続人が相続放棄をしている場合は、初めからいなかったことになるので、その代襲相続は発生しない。

・代償分割
遺産分割の方法の一つで、共同相続人のうち、ある一人が物を直接単独で相続し、他の人が代わりに代償金を受け取ること。相続人間での協議によるものと、家庭裁判所の審判によるものがある。

・嫡出子
両親の正規の婚姻関係から生まれた子のこと。法律上の婚姻関係による子を指す。

・特別縁故者
ある人が死亡して、相続人の不存在が確定したとき、内縁の妻や、介護をした遠縁の者など、(1)被相続人と生計を同じくしていた者(2)被相続人の療養看護に努めた者
(3)(1)ないし(2)に準じて「特別の縁故があった」人に、相続権が認められること。本人の請求に基づき、裁判所の判断により相続財産の全部又は一部の分与を受けることができる。

・特別寄与者
生前、被相続人の財産や生計の確保のために貢献した者は、相続時に他の相続人よりも多く相続分の計算をしてもらえる。ただしこれは、一般的な扶養や介護ではなく、被相続人の事業に対して労務や財産を提供したり、看護等を通じて、被相続人の財産の維持や増加のために、特別に寄与したと見なされる場合に限る。

・特別受益
相続人が複数存在し、そのうち相続人から多額の生前贈与や遺贈を受けた人がいた場合、他の相続人との間に不公平が生じるため、これを是正するための制度がある。その受けた利益のことを「特別受益」という。

な行

・内縁
同居し、生計を共にする等、夫婦生活共同体の実質を持ちながら、婚姻届をしていないために、法律的な夫婦と認められない男女関係のこと。事実婚と同意義。法的な夫婦でないものの社会的には実態を備えているので、婚費の分担や貞操義務等、法律婚と同じような扱いも認められる。ただし夫婦間の相続権はない。

・任意後見制度
将来判断能力が不十分になった場合に備えて、十分な判断能力があるうちに、あらかじめ公正証書で「誰に・どのような」財産管理等をしてほしいかを決めておく制度。

は行

・被相続人
遺産相続において、相続財産を遺して亡くなった人のこと。

・卑属
血族の中で、自身より下の世代の人のことを指す。

・非嫡出子
両親の婚姻関係から生まれたのではない子のこと。婚外子ともいう。父親から認知された嫡出子でないと父子間に法律上の親子関係が成立しないため、父親の遺産相続に関し、大きく影響することになる。

・筆頭者
戸籍簿の一番初めに書かれている人のこと。夫婦どちらかの氏を名乗り、婚姻時に本籍地の役場にて新しい戸籍が作られる。新しい戸籍の筆頭者は、選択した氏を従来から持つ婚姻当事者になる。

・秘密証書遺言
名の通り、遺言書の内容を秘密にして、その存在のみを公証人に証明してもらうもの。遺言の保管者または発見者は、遺言者の死亡を知ったときには遅滞なく家庭裁判所に提出し、検認手続きを受けなければならない。

・不在者財産管理人
行方不明の人(不在者)の財産を管理する人のこと。相続の場面では、行方不明の相続人がいると、その人の財産を管理しなければならないため、家庭裁判所が選任する。司法書士や弁護士などが選ばれることが多い。

・負担付遺贈
「父の介護をする代わりに、土地を遺贈する」「住宅ローンを負担する代わりに、住宅を遺贈する」など、ある一定の負担を義務付けて遺贈すること。ただし、負担の内容に同意できない場合は遺贈そのものを放棄することが可能である。

・法定相続
誰が法定相続人になるか、その取り分はどうなるのかを規定した民法に沿って相続すること。

・保佐人
判断能力が著しく不十分な成人の権利を保護するために、家庭裁判所で選任される人。

・補助人
判断能力の不十分な成人の財産管理や法律行為を法的にサポートするために、家庭裁判所で選任される人。

ま行

・みなし相続財産
死亡退職金や、被相続人が被保険者・保険料負担者である生命保険など、民法上は被相続人の遺産ではないものの、相続税法上は相続財産として課税の対象になる財産のこと。

や行

・養子
民法上の養子縁組によって法律上実子と同じ法律的な地位を得た人のこと。法定相続の権利を得ることにもなる。

・養親
民法上の養子縁組によって法律上親になった人のこと。養親は養子に対して実親と同じ法的な権利を有するため、未成年の子が養子に入ると、親権は実親から養親に移る。

ら行

・暦年課税
贈与税の課税方法の一つ。年間110万円までの贈与であれば、基礎控除額の範囲にあたるため、贈与税がかからない。

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