NPO法人(特定非営利活動法人)
不特定多数の者の利益のために、法に規定された20の特定非営利活動を行うNPO法人は、設立当初の役員を定款で定め、理事3名、監事1名を必ず置かなければならない。さらに社員が10名以上必要であり、都道府県が所轄となる(政令指定都市を除く)。
登記原因証明情報
売買による所有権移転など、権利の変動を登記する場合には、1.登記の目的(所有権移転)2.登記の原因(●●年●月●日売買)3.当事者(権利者と義務者の氏名)4.不動産の表示を含む登記原因証明情報を添付しなければならない。なお、相続における登記原因証明情報は、相続関係を表す相関図と遺産分割協議書をいう。
登記識別情報通知
平成17年の法改正で登記事務が電子化されたことにより(一部平成20年の場合もあり)登記済証に代わるものとして、登記名義人に対して交付される登記識別情報(12桁の番号)のこと。この番号の部分には特殊なシールが貼付され、名義人以外の者が盗み見ることを予防している。再交付はされない。
不在者財産管理人
行方不明の人(不在者)の財産を管理する人のこと。相続の場面では、行方不明の相続人がいると、その人の財産を管理しなければならないため、家庭裁判所が選任する。司法書士や弁護士などが選ばれることが多い。
相続時精算課税
原則60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対する贈与が対象。2,500万円までの贈与については、ひとまず非課税にして(申告は必要)実際の相続発生時、その贈与時の価額を戻し計算して、相続税として支払う方法である。2,500万円を超える分は、一律20%の贈与税がかかり、一度この制度を選択すると、暦年課税へ変更することはできない。
自筆証書遺言
2019年の相続法改正により、財産目録の部分だけは緩和されたものの、その他の全文、日付、氏名等の全てを自書にして押印した遺言書のこと。家庭裁判所にて検認が必要。2020年7月からは法務局による自筆証書遺言の預かり制度が始まる。
秘密証書遺言
名の通り、遺言書の内容を秘密にして、その存在のみを公証人に証明してもらうもの。遺言の保管者または発見者は、遺言者の死亡を知ったときには遅滞なく家庭裁判所に提出し、検認手続きを受けなければならない。
公正証書遺言
遺言者が公証人の面前で口授した遺言の内容に基づき、公証人がその真意を公正証書遺言として作成する。法的不備も、隠匿・改ざんの恐れもなく、家庭裁判所での検認も不要。相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。
一般社団法人
2名以上の設立時社員が必要な「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立された社団法人。基本的に事業の内容に制限はなく、設立には許可等不要。業界団体、資格認定機関、介護事業、互助団体などで利用されている。
負担付遺贈
「父の介護をする代わりに、土地を遺贈する」「住宅ローンを負担する代わりに、住宅を遺贈する」など、ある一定の負担を義務付けて遺贈すること。ただし、負担の内容に同意できない場合は遺贈そのものを放棄することが可能である。
特別縁故者
ある人が死亡して、相続人の不存在が確定したとき、内縁の妻や、介護をした遠縁の者など、(1)被相続人と生計を同じくしていた者(2)被相続人の療養看護に努めた者
(3)(1)ないし(2)に準じて「特別の縁故があった」人に、相続権が認められること。本人の請求に基づき、裁判所の判断により相続財産の全部又は一部の分与を受けることができる。
相続人廃除
たとえば、生前に相続人から虐待されたり、侮辱されたり、またはその他の著しい非行があったとき、本人の申立てと家庭裁判所の審判により、その相続人の地位を剥奪すること。この申し立ては、被相続人が生前か遺言書でしかすることができず、遺言書の場合は死後に遺言執行者が家庭裁判所に請求する。
2号仮登記
売買予約契約(たとえばローン特約など、買主が予約完結権を行使した場合に所有権が移転するという契約)を締結した場合や、農地の売買契約において、農業委員会の許可を条件とする場合など、契約等を締結してはいるものの、対象不動産の所有権移転の効果自体はまだ発生していないときにする仮登記のこと。
特別寄与者
生前、被相続人の財産や生計の確保のために貢献した者は、相続時に他の相続人よりも多く相続分の計算をしてもらえる。ただしこれは、一般的な扶養や介護ではなく、被相続人の事業に対して労務や財産を提供したり、看護等を通じて、被相続人の財産の維持や増加のために、特別に寄与したと見なされる場合に限る。
相続欠格
一定の事由によって、相続人としての資格を失うこと。たとえば、被相続人や自分と同順位以上の相続人を故意に死亡させたり、死亡させようとしたりした場合や、脅迫等によって遺言させたり、遺言書を変更させた場合など、民法891条に記される。
失踪宣告
一定期間行方不明で生死が分からない場合、裁判所の決定によってその人を法的に亡くなったとみなす制度のこと。普通失踪は7年、特別失踪は1年の期間を要し、確定すると、死亡と同じように相続が発生する。
種類株式
一般的に「株式」と呼ばれるものは「普通株式」であり、株主総会における1株1議決権や配当を受け取る権利を有する。これとは別に権利の内容が異なる株式を発行することができるが、これを種類株式という。剰余金の配当や、譲渡制限など9つの権利について、種類の異なる株式を発行することができる。
売渡証書
不動産の売買契約の内容を簡潔に要約した書面のことを「売渡証書」といい、一般的に売主または買主からの依頼により、登記手続をする司法書士が不動産売買契約書をもとにして作成する。売主と買主の住所氏名、当該不動産の概要が記載され、登記原因証明情報として、所有権移転登記を申請する際に登記所に提出される。
非嫡出子
両親の婚姻関係から生まれたのではない子のこと。婚外子ともいう。父親から認知された嫡出子でないと父子間に法律上の親子関係が成立しないため、父親の遺産相続に関し、大きく影響することになる。
株式会社
会社の一種で、一般的に「会社」というときは株式会社を指す。利益を追求する目的を持ち、株主の地位は「株式」という細分化された権利で、割合的単位の形をとる。同時に、すべての株主は会社に対して、その出資額を限度とする有限責任を負担するだけである。
株主名簿
各株主に関する基本情報を記載した帳簿。株主の人数や株券発行の有無に関わらず、会社法に基づき、全ての株式会社が設立時に作成しなければならない。株式の相続や譲渡などがあった場合には、株主名簿の記載情報も更新する必要がある。これらの整備がなされていない場合には、過料の可能性もある。
代襲相続
子供または兄弟姉妹が相続人となるはずの相続において、その子供または兄弟姉妹が、被相続人よりも先に亡くなっているなど相続できる状態にない場合、その子供や直系卑属が代わりに相続人になる相続のこと。なお、相続人が相続放棄をしている場合は、初めからいなかったことになるので、その代襲相続は発生しない。
表示登記
建物新築時など、不動産の物理的な状況を表すために、不動産登記簿の表題部になされる登記のこと。土地には所在・地番・地目・地積が、建物には所在・家屋番号・種類・床面積等が表示される。一般的に土地家屋調査士に依頼をして行う登記である。
家督相続
昭和22年改正前の旧民法にて定められていた長男単独相続の制度。当時は配偶者や他の親族に相続権はなく、「家」の統率者である「戸主」は、財産や身分行為等すべてを有していた。戸主の死亡、隠居による生前相続によっても生じ、長男が戸主の地位を承継していた。
時効取得
民法162条に定められた要件を満たし、一定期間、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有した場合に、所有権等の権利を取得することができること。善意無過失で10年、それ以外は20年の占有期間が必要である。
根抵当権
法人等が金融機関との継続的取引等において、定められた極度額の範囲内で貸付を受け、その額を限度として、不動産等で担保する抵当権のこと。例えば1億円の根抵当権における借入に対して、3千万円を弁済し、新たに事業拡大をしようとするときは、また3千万円を借り入れることが可能であり、抵当権抹消は不要である。
特別受益
相続人が複数存在し、そのうち相続人から多額の生前贈与や遺贈を受けた人がいた場合、他の相続人との間に不公平が生じるため、これを是正するための制度がある。その受けた利益のことを「特別受益」という。
事前通知
紛失等で、登記名義人が登記識別情報を提供できない場合の制度。登記申請について、本人の意思確認のために、法務局から申請人に対して「登記申請がなされたこと」「自分が確かに登記を申請した旨を申し出る旨」を通知する書面を郵送し、2週間以内に登記名義人から間違いないとの申出があったときに登記の実行をする制度。時間がかかるため、売買には不向き。その場合には司法書士等の資格者による本人確認情報の提供が必要である。
限定承認
被相続人の相続財産の範囲内で、被相続人の債務を弁済する相続の方法。相続人が複数いる場合は全員が共同して行う必要があり、原則相続開始を知ったときから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申立てる。
遺産分割
複数の相続人が存在する場合、その共同相続人によって、遺産をどのように分けるかという取り決めをすること。この内容を書面に表し、相続人の署名・実印押印を施したものが遺産分割協議書であり、印鑑証明書を添えて、相続登記の登記原因証明情報となる。
生前贈与
贈与者と受贈者間の契約により、生前に財産を与えること。ただし特別受益の問題や、贈与後1年以内の相続発生時遺留分の問題、加えて税金計算の方法(暦年贈与か相続時精算課税制度か等)に留意する必要もある。
仮登記
売買契約が予約で止まっているなど、登記要件が完備していない場合に、将来の本登記の順位保全を保つための予備的登記のこと。仮登記自体には対抗力がないが、本登記がなされれば順位保全効力を有する。
会社法
平成18年に施行された会社に関する法律。それまでは、商法の「第2編会社」と、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、有限会社法の3つを合わせて、「会社法」と呼んでいた。これらの3つの法律の内容を集約し、分かりやすくしたもの。
議決権
株主総会での決議に参加して議決に加わることができる権利のこと。原則1株に対し1つの議決権がある。総会に出席できない場合は、ハガキによる投票や、最近ではインターネット上で議決権が行使できるシステムも採用されている。
監査役
株式会社において、原則として取締役及び会計参与の業務を監査する機関であるが、設置は任意である。ただし原則として取締役会設置会社と、会計監査人設置会社は必須。会社経営の業務監査および会計監査によって、違法または著しく不当な職務執行行為の有無を調べ、阻止・是正するのが職務である。
遺留分
民法1028条に定められた相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度のこと。配偶者、子、直系尊属には、遺産の一定の割合を相続する権利があるが、兄弟姉妹にはない。もし遺言書の内容に不服があり、遺留分減殺請求をする場合は、相続があったことを知った日から1年間で時効消滅、相続開始から10年間で除斥となるので要注意。
権利証
登記済権利書ともいう。平成17年の法改正以前に不動産を登記した際に発行されていた書類で、該当する不動産の情報や所有権、その他の権利等の他、登記した司法書士の名前や法務局の受領印が施されている。所有権移転や、抵当権設定時に必要になるが、紛失すると再発行はできない。
相続税
相続によって被相続人から相続人に移った財産に対して課税される税金のことで、財産の額が大きいほど税率も大きくなる累進課税である。ただし、以下の基礎控除枠がある。
課税財産価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
地役権
自分の土地(要役地)の利便性を高めるために、他人の土地(承役地)を利用すること。たとえば、自分の土地が袋地の場合、他人の土地を通らないと道路に出られない。このようなときには「通行地役権」を設定する。この要役地を売買する際は地役権も付随して移転する。
合併
2つ以上の会社が1つの会社になることを言う。合併には2通りある
吸収合併
会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるもの。
新設合併
二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるもの。
定款
会社の根幹となる規則のことで、事業の目的、商号、本社所在地、設立に際して出資される財産の価格またはその最低額、発起人の氏名と住所を必ず記載するように会社法で定められている。会社の重要な指針となるものなので、設立前に必ず作成し、公証人に定款認証をしてもらう必要がある(合同会社を除く)。PDFデータの電子定款も一般的である。
内縁
同居し、生計を共にする等、夫婦生活共同体の実質を持ちながら、婚姻届をしていないために、法律的な夫婦と認められない男女関係のこと。事実婚と同意義。法的な夫婦でないものの社会的には実態を備えているので、婚費の分担や貞操義務等、法律婚と同じような扱いも認められる。ただし夫婦間の相続権はない。
姻族
婚姻関係で生じる法律関係のこと。民法では、自己の配偶者の血族と,自己の血族の配偶者をいい、三親等内の姻族が親族となる。離婚によって消滅するが、配偶者の死亡のみでは消滅しないので、役所に姻族関係終了届を提出しなければならない。
官報
法律、政令、条約等の公布、国や特殊法人等の諸報告や資料を公表する「国の広報紙」「国民の公告紙」としての使命だけでなく、広く会社の公告として、合併公告、決算公告なども掲載される。また家事審判において失踪宣告等も掲載される。
遺言
自身の死亡後、その財産を誰にどう分けるか、誰に執り行って欲しいか等を記した意思表示。法的な権利関係を保全するには、民法に定められた様式で遺言書を作成しておく必要がある。読み方は「いごん」「ゆいごん」どちらでも可。
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